ちょっと気になる 子どもたち ~中学生からの理解と支援~
日時 : 4月21日 (土) 午前10:00~12:00
講師 : 月森 久江氏 杉並区中瀬中学校 通級指導学級教諭
主催 : 青少年育成・自立支援の会 パルレ
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親から自立し、友達との関係が重要になってくる中学生以降。子どもにとっても、親にとっても大切な時期でもあり、難しい時期でもあります。
どのような点に留意して、学校生活・家庭生活を送ればいいのでしょうか。
NHKのテレビにも出演されている月森先生にお越し頂き、具体的な対応方法などについて、お話いただきます。
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◎最初に、月森先生の自己紹介をされてから中瀬学級の現状(11年目 31名)と取り組みをお話下さいました。
学び方が違う子ども達への指導。中心的指導内容の一例。特別支援を要する児童生徒像。 全人格を支援する。
◎表面的な現れと複雑な背景(学校生活)
表面的な表れと内面の違い
表面:落ち着かない。勉強が出来ない。
内面:授業がわからない、体調が悪い、気になる事がある、家庭に不安がある、不安が強い、発達しょうがいがあるための落ち着きのなさ。
学習面の表れと背景
表面:宿題をしない。勉強が出来ない。
内面:言語指示が理解出来ているか、視覚・視機能に問題はないか、理解は出来るが表現ができないのか、発達しょうがいがあるか(LD・ADHD・MR)
板書を写さない(ノートをとらない)
表面:ノートをとらない。写すのが遅い。
内面:視覚・視機能に問題はないか、視覚的短期記憶が弱いので覚えられない、文字を認識するのが難しい、字を書くことに問題はないか、
ノートを写すのに時間がかかるか、モチベーションの問題か、他教科ではどうか、その他の影響(学力・友人・消すのが早い・多量)
◎中瀬中学校の個別支援は3ヶ月・1ヶ月で集中取組み
板書で大事なところは蛍光チョークで書く、囲む。テストの拡大用紙使用。書くのが遅い場合は別室で時間延長。
◎どのように対応したらよいか(家庭での対応)
記憶容量が小さい 複数の指示は覚えられない 一つずつ指示する。
その1
子どもの行動に対して、感情的な反応をしない
(・感情的な軋轢を生じさせない返答の仕方と対応へのイメージトレーニング・説教するだけで行動変容を求めない・子どもの行動に
過度に反応しない・周りくどい言い方で、くどくど注意しない・権威で抑えると後で言うことを聞かなくなる・低い声で、短く、冷静に繰り返す)
その2
行動の悪循環を断ち切る(おしゃべり→注意される→とまらない→×強い注意 悪循環。
とまらない→違うやり方や課題をさせる⇒誉める すぐに声を掛ける『アッ 切り替えられたね』
◎行動改善出来ない要因(子どもも困っている)
自力での解決が難しい 注意と叱責を浴び続けている いくらやっても評価してもらえない 自信が無い 面倒くさい 改善の仕方がわからない
その3
上手に褒めて意識を高める ・大人もボキャブラリーを増やして言葉を工夫する
・言葉以外の誉め方(スキンシップ 肩たたき 表情 眼差し うなずき ○をあげる 活動を一緒にする シールを貼る 記録をつける 担任へ知らせる)
・行動の直後が効果的 ・視線を合せて表情はにこやかにして褒める ・わかりやすく褒める ◎本人が褒めて欲しいと思っているように褒める
・良い行動をした直後にほめる ・少しでも努力したときはほめる(良くみていること)当たり前の行動をした時は見過ごしがちになる
・教師や親の言う事を聞いて行動した時は褒める ・困った事や改善したい事を言ってきた時 ・休息を与える前にほめる(良く頑張ったから少し休もうか)
・数ヶ月に1回くらい成長した点をほめる 留意点:理屈や追加の言葉は言わない(でもね~、もっとね~、だったらね~、まだ~)
◎家庭で行う対応のヒント
1.生きていくための基礎学力をつける(小4レベル)
2.出来る事・得意な事・伸ばしていける部分を見つける事が良い対応方法につながる。
3.自己評価を高めることは、自信をもたせる近道
4.自然はすばらしい教育者、外へ出て学ばせること
5.学校や担任への要望は、大人同士の面談で『今大事な事を1つ』だけにする
6.学校批判は子どもに聞かせないこと
月森先生の自己紹介の中に『私はいつも保護者の方に、特別支援を受ける事を遠慮しないで下さい。堂々と胸を張って支援を受けて下さいと伝えています。』
とおっしゃったのを聞いた時、思わず涙ぐみそうになってしまいました。それは、何時も周囲にお詫びとお願いばかりしているような学校生活で
いつの間にか気持ちが萎縮して来ていたのに気が付いたからです。本当に堂々と周囲の理解を得られるように私達も啓発活動に頑張りましょうね。